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BLUE BERM

-GRAZING FARM AND LAB-

AGRI DESIGNの未来

トライポッド・デザインと新利根協同農学塾農場は、暮らしと自然が出会う農や酪農の環境において科学的にその生態系や自然物の成り立ちや循環などに焦点を当てながら、自然が本来の姿として最大限にその生命力を活性化させる独自の作物づくりや生物育成のあり方に関するデザインを社会に提案し、より豊かで安全な食の提供を目指したいと考えます。

BLUE BERMにおける農環境の開発においては、BIO FARMの発想による生物多様化を強く意識した環境づくりを目指しています。BIO FARMでは微生物の生態から様々な昆虫や動植物の棲息域をめぐる相互間の共生と活性化を科学的に研究解析しながら新たなGRAZINGとVEGITATION FARMのデザインを考え、実践的に開発を進めています。

BLUE BERMにおける牛たちは放牧による牧草飼育により育ちます。グラスフェッドと呼ばれる牧草飼育は、土の中の有機物を増やし、生物多様性を広げることにつながります。牛たちは基本的に穀物は食べず、冬季はその年の初めに農場で刈り取られ、冬の餌として保存されているサイレージや干し草を食べています。

放牧により自然の牧草を食べて育つ牛の糞は、一般的な飼料を食べて育つ牛の糞よりも臭いが抑えられていることが特徴です。完熟したコンポスト(堆肥)は嫌な臭いもなく、植物や野菜を育てるための肥料として非常に優秀な土壌成分として利用されます。BLUE BERMは1年かけて牛糞をコンポスト化しており、その生産プロセスをフードロスや雑草を利用したコンポストへと応用するための研究を実施しています。

1年物の牛糞コンポストには多くのミミズが生息しており、天然のミミズコンポスト(ワームキャスト)となっています。ワームキャストは、ミミズから抽出した栄養豊富な有機肥料としてあらゆる種類の植物に効果があり安全に使用できます。コンポストを食べたミミズの排泄物は土壌の通気性と排水性を高めるとともに、土壌の保水性も高めます。日本ではあまり目にする機会はありませんが、海外に目を向けるとワームキャスト農家が数多く存在しており、ワームティー(後述)も含めた天然肥料として多く流通しています。BLUE BERMは土壌改良や植物育成の研究対象としてワームキャストの生産を実践しています。

ワームティーは、土壌にバクテリア、菌類、放線菌、原生動物を加えることで土壌の微生物活動を促進する能力があることで知られる液体肥料です。土壌に暮らすミミズの排泄物から作られており植物に必須栄養素と微生物をバランスよく配合していると言われています。日本ではあまり馴染みのない肥料ですが、海外ではワームティーやワームジュースといった名称で一般に製品として販売されている液体肥料です。BLUE BERM では牧場で作られている牛糞コンポストを利用した100%オーガニックのワームティー製造を実践しています。

田んぼや畑地による食物の育成には多くの肥料が使用されており、農業排水には多くの肥料成分が溶け出しています。その成分が過剰になると水質の悪化を招き、その地域の生態系へ影響が出てきます。BLUE BERMは水生植物がもつ水中の窒素やリンの除去効果、アレロパシー作用などに着目し、自然物による水質浄化の方法を研究しています。

屋外で作られているコンポストは、雨が降ると見た目はコーヒーのような黒色の液体が抽出されます。適切に処理されたコンポストから抽出された液体は意外にも臭いがなく、不純物も見えない液体です。BLUE BERMはこの抽出液の美しさに着目し、自然が作り出した染料としての活用法を研究しています。

お問い合わせ:info@tripoddesign.com